【おすすめ穴場の美術館】映画にもなった熊谷守一美術館は東京の住宅街にひっそり佇む癒しの空間。

熊谷守一おでかけ

東京には有名な美術館がたくさんあります。

乃木坂にある「国立新美術館」、文化施設が集まる上野の「国立西洋美術館」が有名です。

世界的な作品や歴史ある有名な展示があるし、建物自体が芸術的なので行くだけで楽しい気分になりますが、個人的に私が好きなのはひっそりと図書館の様に佇む美術館。

今回はそのなかでも特にお気に入りの一人である【熊谷守一美術館】をご紹介したいと思います!

猫の絵は見たことがあるかも。東京・豊島区の熊谷守一の自宅跡に作られた「モリの世界」。

住宅街に急に現れるコンクリートの建物。そこには蟻の絵とクマガイモリカズのサイン。

熊谷守一とは…

奥さんと囲碁をするクマガイモリカズ。熊谷守一美術館にて撮影。

明治13年生まれの日本人画家。昭和52年に97歳で老衰と肺炎のため亡くなっています。

日本の美術史においてフォービズムの画家と位置づけられている。しかし作風は徐々にシンプルになり、晩年は抽象絵画に接近した。富裕層の出身であるが極度の芸術家気質で貧乏生活を送り、「二科展」に出品を続け「画壇の仙人」と呼ばれた。勲三等(辞退)、文化勲章(辞退)。

Wikipediaより引用

有名なのはこの猫の絵では無いでしょうか?どこかで目にしたことがあるかもしれません。

熊谷守一の本で有名な「へたも絵のうち」という本の表紙にもなっている猫。この輪郭線を強調した絵が熊谷守一の絵の特徴なのです。

単純な線と鮮やかな色彩が特徴ですが、筆の使い方にも特徴があります。筆跡が確認できるのは原画のみなので美術館で観ないとこの特徴や本当の良さはわかりません。

画面や印刷されたもので見るのと本物の絵では全く違うのです。絶対に美術館へ足を運ぶことをおすすめします。

この魅力は「クマガイ式」と呼ばれているそうです。

身近にあるもの。特に生き物を描きづづけたという熊谷守一。

「石ころひとつあれば一日中過ごしていられる」なんて言葉も残しています。

とても遅咲きの人で絵が売れ始めたのは60歳を過ぎたころだそうです。自分を曲げることなく自分の画風を模索し続けたことが晩年になって実を結んだのでしょうか。

猫だけをあつめた画集もありました。大体寝ている…。

熊谷守一美術館は旧居に守一の二女・榧(かや)さんが1985年創設し、2007年に豊島区立となったそうです。

残念ながら榧(かや)さんは2022 年 2 月に92歳でお亡くなりになったそうです。

二女・榧(かや)さんも芸術家であり、この熊谷守一美術館のカフェでその作品を見ることができます。

熊谷守一美術館併設のギャラリーkayaは必ず立ち寄ってほしい。

窓側に二女・榧さんの作品が並んでいる。

美術館にはカフェが併設されていて関連の書籍やポストカードや複製画などを販売しています。

このカフェは二女の・榧(かや)さんのお名前入りの「カフェ・カヤ」。

窓が大きく外を見渡せて、とても静寂な空間はまさに癒し。

ここに熊谷守一の書籍や榧(かや)さんの作品も飾られているので、見ながらお茶をするという、とっても贅沢な時間を過ごすことができます。

メニューはコーヒー・紅茶、そしてケーキがあります。紅茶はポットに熱々で運ばれてきます。

メニューはコチラ。次はパウンドケーキを食したい…!

だいたい3杯分くらいあるのでコーヒーよりお得かも(笑)。カウンターで先に注文&お会計を済ませて席で待ちます。

今回は紅茶のチャイを注文しました。ホッとするしょうがの香り…。

ここのカップは全て榧(かや)さんの手作り。個性的なカップで出てくるのでこれも良い。

美味しかったよ~!ホッとする空間。図書館っぽい雰囲気です。

周辺は完全な住宅街なのでこの辺に住んだら通いたい…それくらい心地の良い空気が流れています。

最寄駅からは徒歩9分から13分ほど。送迎バスや近くにバス停も無いので足が悪い方はタクシーで。

頂いたパンフレットに載っていたもの。

最寄り駅は5つありますが、どの駅からも10分ほどかかります。完全な住宅街で豊島区のこの辺りは道路が狭く、東京都も道路幅を広げる計画をしているくらいなのでバスはあってもバス停からも徒歩5分はかかります。

でも、古き良き東京の姿を感じ取ることができる建物がところどころに見られるのは歩いていて飽きません。とくに狭い路地はワクワクしてしまうことでしょう!

ここには書いていませんが西武池袋線の東長崎駅からテクテクと歩いて徒歩13分ほどのようです。椎名町駅とさほど変わらないのではないでしょうか。所沢や中野、江古田方面の方はそちらからでも大丈夫。

絵だけじゃない守一のもうひとつ魅力は「言葉」とその「生き方」。

熊谷守一の魅力は絵だけではないのです。

それは「言葉」「生き方」。そしてその風貌までも注目されてます。

私が特にお勧めするのがこちらの「蒼蝿」という本。ちょっとお高いですが、守一が話す言葉そのままを編集したこの書籍には、守一の飾らない性格を感じることができるのです。

難しい言葉で語らず、本当の自分の言葉で、自慢もせず、謙遜せず、正直に真っ直ぐに話す守一の言葉は、まるで親戚のおじいちゃんのように、そばで話してくれているような気もしてしまうのです。

この書籍の中で、私の中で軸を見つけるきっかけになった言葉に出会うことができました。

川には川に合った生きものが住む。上流には上流の、下流には下流の生きものがいる。

自分の分際を忘れるより、自分の分際を守って生きた方が、

世の中によいとわたしは思うのです。

いくら時代が進んだっていっても、結局、自分自身を失っては何もなりません。

自分にできないことを、世の中に合わせたってどうしようもない。

川に落ちて流されるのと同じことで、何にもならない。

熊谷守一「蒼蝿」より引用

この言葉だけではなく、モリの言葉には、心動かされる言葉が数多く存在しています。

かっこつけたり、人に良く思われよう、嫌われないように、変な人だと思われないように…そんな風に周りに合わせてしまうところがある自分には、分を貫き通しつつ、周りの人や生き物を大切にできる守一の言葉と生き方は、憧れなのです。

山崎努さん・樹木希林さん・加瀬亮さんが好演!映画化された「モリのいる場所」はあくまで映画。本当のモリではない。

2018年に「モリのいる場所」という映画が公開されてはじめて熊谷守一という人を知った方も多いのかもしれません。

山崎努さん・樹木希林さん・加瀬亮さんという大物俳優たちが好演したことで話題になりました。

映画『モリのいる場所』公式サイト
映画『モリのいる場所』2018年5月19日(土)公開! 30年間一歩も家の外へ出ることなく、庭の生命を見つめ描きつづけた伝説の画家・熊谷守一(くまがいもりかず 通称モリ)。97歳で没するまで生涯現役。 よく生き、よく描き、生きとし生けるものを愛した、その自由気ままな生きかたに、山﨑努が惚れこんだ

でもこれはあくまで映画…なので、半分は真実で半分はつくりもの。

少し大げさになっているところもあるようで、守一の二女・榧さんは「あくまで映画」と語っておられます。

何を語っているかは美術館に行けばわかりますのでぜひ足を運んでみてください。

でも、熊谷守一という人間や絵に興味を少しでも気になった…というならば、この映画を見るとさらにモリのことが気になることは確かだと思います。

ぜひ、この映画を見たら「熊谷守一美術館」へ行って本当の守一と対話してみましょう!

きっと、今のあなたには無い新しい何かに出会えると思います。

帰り道には石ころや葉っぱを持ち帰ってしまうかもしれませんよ。

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